9 おわりに

 

以上の概念を、一応ではあるが整理すると、次のとおりとなる。

概 念

定 義

定義の出典

コンピュータ犯罪 コンピュータシステムの機能を阻害し、又はこれを不正に使用する犯罪 1990年版「警察白書」92頁
ネットワーク犯罪 ネットワーク上の又はネットワークを利用した犯罪 警察庁「情報セキュリティビジョン策定委員会報告書」
ハイテク犯罪 コンピュータ技術及び電気通信技術を悪用した犯罪 1997年版「警察白書」
サイバー犯罪 不 明 IT沖縄憲章」 「サイバー犯罪条約」
「電気通信回線を通じて行われる電子計算機に係る犯罪」(不正アクセス禁止法1条) 電子計算機使用詐欺、電子計算機損壊等業務妨害などコンピュータ・ネットワークを通じて、これに接続されたコンピュータを対象として行われる犯罪と、コンピュータ・ネットワークを通じて、これに接続されたコンピュータを利用して行われる詐欺、わいせつ物頒布、銃器・薬物の違法取引などの犯罪の両方 警察庁「不正アクセス行為の禁止等に関する法律の概要」

 

現在では、「コンピュータ犯罪」、「ハイテク犯罪」、「ネットワーク犯罪」、そして「サイバー犯罪」という言葉は、ほとんど区別されることなく使用される傾向が見られるが、以上に見てきたとおり、各用語は歴史的背景の下に用いられてきたものであるから、したがって、限られた射程を有するものであることに、注意する必要がある。

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