駐車場設置者の責任
岡村・堀・中道法律事務所 弁護士 堀 寛
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Q1.当社は来客用に無料駐車場を設置していますが、無関係な自動車による無断駐車が跡を絶ちません。無断駐車をした人間に対する法的措置及び今後の対策(予防措置)について教えて下さい。
A1
.まず、既に設置されておられるかもしれませんが、町中でよく見かける駐車料相当額を徴収する旨の警告及び警察への通報を明示した看板・張り紙等を設置することが考えられます。
この場合、無断駐車をした相手方に対して、駐車料相当額を請求することはできますが、残念ながら任意に支払わない場合の実効性は乏しいのが実状です。特に、1回限りの駐車料相当額の請求では、法的手段に訴えるだけの費用には見合わないでしょう。
ただし、同一車両による無断駐車が多数回にわたり相手方を特定することができるような場合には、法的手段に訴えることも可能と考えられます。
さらに、無断で他人の土地に侵入して車両を駐車しているのですから、警察へ通報することを考えてもよいでしょう。
たしかに、最も効果的な方法としては、管理人を置くこと、あるいは、コイン駐車装置等を設置して、正規の利用者には後で実費を返還すること等が考えられますが、いずれも費用の点で難点があることは否めません。
また、ロープを張る等の物理的手段を用いることは、事故が起きた場合、設置、管理の瑕疵による賠償責任を問われるおそれがありますので、十分に注意する必要があります(岡山地裁津山支部平成4年7月15日判決−末尾参照)。
Q2.当社の駐車場内で事故が発生した場合、当社は駐車場設置者として事故に関する責任を負うのでしょうか。
A2
.一般の無料駐車場のようなケースでは、駐車場内での通常発生する第三者間の交通事故その他の事故について設置者の責任が問われることはあまり考えられないと思われます。
ただし、駐車場内に設置していた工作物の設置、管理に瑕疵がある場合に、これが原因で事故が発生した場合には、前記判例のように、設置者としての責任を問われる可能性はあります。
例えば、駐車場のフェンスが倒れて駐車場内や外を通行していた人が、けがを負った場合などが考えられますし、先ほど挙げました判例もこの範疇に入ると考えられます。
[参考−岡山地裁津山支部平成4年7月15日判決(交通民集25巻4号819頁)]
自動二輪車に搭乗中の被害者が、駐車場内で、無断駐車排除のために張られたロープに頚部を掛けて転倒した結果、死亡した事故につき、駐車場内で侵入者の規制にあたっていた被告ら、すなわち被告組合の代表者と従業員には、前方不注視の車両が通行する可能性をも考慮したうえでの安全確保のための措置に不十分な点があると認め、この点の過誤が事故の原因となっているとして、ロープの設置、管理の瑕疵による賠償責任を認容した。
本件事故については、前方不注意の被害者の過失割合は3分の2であるとして、過失相殺をしている。
以 上
法律問題は、事実関係や裁判所の事実認定の微妙な相違により、全く結論が異なることになる場合が多いというのが実状です。また、学説が対立する問題は多く、判例は常に変更される可能性があります。以上の結果、実際に紛争になっていたり、もしくはそうなる可能性がある事案等について責任ある判断をするには、必ず現実空間において法律専門家に相談を受けていただくことを要します。したがって、本ページの記載内容に関しては、あくまで参考として利用いただくものとし、当事務所及び当職は一切責任を負わないことを利用条件とします。